年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「正直、そのときはそう思いました。父はいつも兄ばかりを構っていましたから」
「スマ乳の跡取りだから?」
「はい。だから友達の言葉にはひどく傷つきました」
由也くんはレンズを覗いて焦点を合わせる。
「それからは誰にも見せなくなりました」
金持ちは金持ちなりに傷つくんだと思った。私は買ってもらいたくても買ってもらえなくてよくふて腐れていた。
「だからいつも一人で部屋のベランダから星を眺めてた。でもね」
何年か過ぎたころ、その日も由也くんはベランダで星を見ていた。小学生も高学年、時間は23時に近かった。部屋の明かりを消して望遠鏡で星を眺めていると、タクシーが玄関に止まった。