年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「……?」
その紙は普通のメモ用紙、普通というかピンク色を基調とした可愛いメモ用紙だった。字は普通にボールペンで書かれている。てっきり専門店から作り方の書かれたパンフをもらったのかと思ったからちょっとびっくりした。しかも字は由也くんの字じゃない。紅茶の入れ方を教わるなんて、一体誰に……。
由也くんはメモ用紙を見ると急いでくしゃくしゃに丸めてポケットに突っ込む。いつもの由也くんならキチンと畳むのに、まるで私に隠すみたいだった。鍋の湯が沸き、由也くんは茶葉を入れた。コロコロした粒状の茶葉が鍋の中で踊る。由也くんは蓋をして火を止めた。
「……お、面白い形の紅茶だね」
「CTC製法というらしいです」
誰に教わったって察しはついてる。綿菓子だ、綿菓子に決まってる。一緒に紅茶専門店に行ったんだろうか、由也くんから誘って由也くんの車に乗って美味しい紅茶を飲みに行ったんだろうか。用事ってデートだったんだろうか。