年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 由也くんは蓋を開け、牛乳を注ぐ。そして火をつけた。濃い茶に白い模様がまだらに混ざっていく。徐々に色は均一になった。鍋肌から泡が立ち、沸騰寸前で由也くんは火を止めた。それぞれのマグに茶漉しを使って注ぎ入れた。


「砂糖は入れますか? 甘い方が美味しいそうです」
「あ、うん……」


 由也くんは棚から砂糖を探し、マグに入れる。甘い方がいいって綿菓子の入れ知恵だろうか。湯気の上がるマグを持ち、ソファに掛ける。綿菓子は彼とヨリを戻したんじゃなかったのかと頭の中はそれでいっぱいになる。



「もうすぐ綾香さんの誕生日ですね」
「あ、うん」
「プレゼントは何がいいですか?」
「プレゼントなんていらない。こうして由也くんと一緒にいれたら十分だし」

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