年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 物なんていらない。こうして同じ空間に、自分の視界に由也くんがいればいい。もし綿菓子がまた彼氏と喧嘩してて、もし由也くんがその隙間に入り込んでたなら由也くんは綿菓子と結婚する。そしたらこんなふうに過ごす時間は圧倒的に少なくなる。
 マグのミルクティを啜る。由也くんが御曹司だと知らなかった頃は結婚出来ると思ってた。あの頃にプレゼントは何がいいと尋ねられたら指輪とか言っただろう、婚姻届だと言っただろう。そう言って由也くんにプレッシャーを掛けて困る由也くんを見て可愛いって思ってただろう。でも今はそれを口にすることすら許されない。


「年末……」


 由也くんは呟くように言った。


「年末、海外に行きませんか?」
「へ?? か……」


 海外。


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