年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「綾香さん」
「由也くんシャワー……あ……」
「すぐ欲しい、我慢できません」
「や、んぐっ」
由也くんが唇を重ねるなりすぐに熱いキスをする。仮に結婚まで許さなかったとしても挙式後由也くんは綿菓子を抱く。こんなふうに覆いかぶさって、キスしたり耳元で囁いたり愛撫する。骨っぽい指でなぞって幅のある手の平で包むように愛撫して……。キスをするのに目をつむると何故か由也くんと綿菓子がキスをする映像が浮かぶ。綿菓子の肩に優しく手を添えて顔を傾けて近付いていく由也くんの顔、少し背伸びをする恥ずかしそうな綿菓子の顔。
「綾香さん?」
「何でも、な……い……」
そんなもの見たくもない。見たくないのに瞼の裏には綿菓子の可愛い笑顔が現れる。私は慌てて目を開ける。それは私の勝手な妄想で現実ではないと頭では理解している。でもあまりにもリアルで怖くて、すぐに目に涙が貯まり溢れそうになる。鼻を啜る。胸が苦しくて痛くて、堪える胸元が震えて、何でも無いって言ったけどとても何でもない状態ではなかった。