年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
再び無言になる。私は自宅に向かう道を歩き出した。最後という言葉に由也くんも理解しただろうか、何の策も練れずに別れを受け入れるってことを。
アパートに着き開錠して中に入る。小さいワンルームの部屋。由也くんは何度訪れただろう。何度夕飯を食べただろう。何度泊まっただろう。御曹司の由也くんの部屋はもっともっと広くて豪華だろうか。
そういや由也くんの部屋に行ったことないな。デートの帰り道に近くで別れたことはあったけど招いてはくれなかった。今思えば、きっと御曹司であることを隠したくて入れてはくれなかったんだ。
私はキッチンで夕飯を作り始める。由也くんは珍しくキッチンに来て私の隣に立った。
「最後なら一緒に作りたいから」
「うん。じゃあピーマン切って」
由也くんは不器用に包丁を持ち、ピーマンを切りはじめた。横にして真っ二つに。
「ぷっ」
「綾香さん笑わないで」
「だって。ピーマンは縦にして、こう」
「うん」