年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 気付けばもう12月も下旬、車窓からの景色は寒々としていた。時間が経つに連れ、枯れ木立の景色は徐々に雪景色になる。目的の駅に着くころにはテレビで見るような豪雪地帯の景色が広がっていて、改札口を出た瞬間に私は圧倒された。

 タクシーに乗り、まずはお寺に向かう。赤ちゃんがいる場所、石碑の前で手を合わせた。


「ママ来たよ。ママなんて言う資格もないけど」


 持参した駄菓子やジュースを上げ、再び手を合わせる。パパは来れなかったけど許してね、次の命日には必ず連れてくるからね、と頭を下げた。でも正直なところ自信は無かった。由也くんが綿菓子と結婚したら新婚生活に忙しくなって一緒に来てくれるか不安だった。忙しいならまだいい、ひょっとしたら綿菓子に夢中になって私のことも赤ちゃんのことも忘れてしまうかもしれない。


「……ごめんね」


 私は再び頭を下げた。
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