年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
私はそれから再びタクシーを拾い、ペンションに向かった。いつものペンション、オーナーは相変わらず髭モジャラで出迎える。白髪もますます増え、サンタにより近付いていた。
「一人で予約とは珍しいですな」
「たまたま有給休暇が取れて時間があって」
食堂に通され、宿泊申込書に書き入れる。変わらない名字、独身。冬季は星の観察会はなく、スライド上映だけだと言われた。平日のペンションは閑散としていて宿泊客はスキー客一組と私だけだった。
夕食後のそのスライド上映も見に来たのは私だけだった。オーナーは上映のあといつも星の話をする。今日の話題は超新星爆発、太陽よりずっと大きな星は自分の重さを支え切れなくなり、最後には爆発する。オリオン左肩にある赤い星ベテルギウスはまさにその最期を迎えようとしていて、爆発は明日か100年後か100万年後かと予測されている。天文学的には100万年でも近い将来に入るらしい。