年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「で、長谷川さん。藤池クンと喧嘩でもしたのかな?」
「いえ……」
「結婚出来ない事情に息詰まりましたかな?」
「ははは、当たりです。私って分かりやすいのかなあ」
「だって顔に書いてありますぞ?」
「……由也くんとは、もう、無理かなあって」
オーナーはサーバーからコーヒーを注ぎ、私に出してくれた。オーナーも白い髭を邪魔そうに啜る。由也くんと知り合ったのが25の時、もう8年にもなる。
「誰にでも……」
オーナーは呟いた。
「誰にでも?」
「人生に一人くらい、命を掛けてもいいという人はいると思いますがな。好きで好きでたまらないと言いますか」
「はい……」