年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「着きましたよ」
「うん。わわ……」
足元ばかりを見ていた私は由也くんにそう言われて顔を上げる。15メートルはあるツリー、ビルの3階部分を優に越えている。そして奥の壁には壁画のような光の絵がキラキラと光る。
「すごーい」
「専務が言ってた通りです」
師走の寒さを忘れる。既に出来ていた人だかりの隙間を見つけては徐々に前に行く。その間もずっと由也くんは私が迷子にならないように手を握っていた。私も答えるようにぎゅうっと握り返した。
由也くんは気になるのか辺りを見回している。社内の人間がいないか気になるんだろう。私は見ない振りでイルミネーションを眺める。警戒する由也くん、自分がすごく悪いことをしてる気分だった。見つからないようにコソコソと見なくちゃいけない。私はツリーを間近にして下から見上げた。
「綾香さん」
見上げた視界の中に由也くんが入ってきた。優しく笑って私を見つめる。
「首、痛くないですか?」
「痛いかも。慣れてる筈なのに」
「僕も痛いです。僕は見上げるのは慣れてませんから」
こうして由也くんを見上げるのも何回あるだろう。
「うん。わわ……」
足元ばかりを見ていた私は由也くんにそう言われて顔を上げる。15メートルはあるツリー、ビルの3階部分を優に越えている。そして奥の壁には壁画のような光の絵がキラキラと光る。
「すごーい」
「専務が言ってた通りです」
師走の寒さを忘れる。既に出来ていた人だかりの隙間を見つけては徐々に前に行く。その間もずっと由也くんは私が迷子にならないように手を握っていた。私も答えるようにぎゅうっと握り返した。
由也くんは気になるのか辺りを見回している。社内の人間がいないか気になるんだろう。私は見ない振りでイルミネーションを眺める。警戒する由也くん、自分がすごく悪いことをしてる気分だった。見つからないようにコソコソと見なくちゃいけない。私はツリーを間近にして下から見上げた。
「綾香さん」
見上げた視界の中に由也くんが入ってきた。優しく笑って私を見つめる。
「首、痛くないですか?」
「痛いかも。慣れてる筈なのに」
「僕も痛いです。僕は見上げるのは慣れてませんから」
こうして由也くんを見上げるのも何回あるだろう。