年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 どれくらいそうしていただろう、二人とも席を立てなくて無言で湯呑みやら箸やら眺めていた。離れたくない、別れたくない……。


「あ、あの、綾香さん」
「ななな、なあに?」
「今夜綾香さんが僕をもてなしてくれたから、僕にもさせてください」
「そそそんないいよ、別に」
「僕がしてあげたいんだ、いいでしょう?」
「あ、うん……」


 由也くんは、来週末空けといてください、と言って、笑った。私も顔の筋肉が緩んだ。また由也くんに会えるって、別れるのが先延ばしになってホッとした。
< 52 / 600 >

この作品をシェア

pagetop