年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「……」
綿菓子の彼氏は一人で現れた。待ち合わせかもしれないけど、普通なら駅とか別の場所で落ち合ってからスポットに来る。だって綺麗なイルミネーションが目に飛び込んでくる瞬間の彼女の顔を見たいって思うだろうし、大体社内恋愛なら退勤後に一緒に都心へ向かうだろう。とすれば綿菓子と綿菓子の彼氏は別れた。由也くんは彼女と直帰したり、自宅に上がり込んだりしてた。彼氏にしてみれば当然面白くない、別れ話が浮上しても不思議ではない。
いよいよだ。由也くんは結婚する。私を知らない、私と由也くんの歩んできた軌跡を知らない、存在すら知らない彼女が由也くんの一生に寄り添うんだ……。
「ふう……」
見たくない。由也くんが他の子と結婚するのを見たくない。結納がいつとか披露宴がいつとか、知りたくない。知ったら私は妄想して気が狂うと思う。由也くんが何も言わなくたって、ライバル会社の御曹司が結婚するともなれば営業部にいればいやがおうでも耳に入る。