年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「うわあ大きい……」
抱えるようにそっと持つ。大輪のガーベラ、カーネーション、白いレースフラワー、かすみ草。花束をもらうなんていつ以来だろう。大体こんな大きな花束、初めてだ。出来るだけ下で抱えるけど、顔のすぐ下に花が広がる。かすみ草が顎をくすぐる。
「いろいろ悩んだんですが、これが一番だと思いました」
「えっと、花言葉は……」
「“感謝”です。本当はこんなくらいでは表し切れませんが」
感謝か、由也くんらしい。花の匂いを嗅ぐふりで鼻を啜る。花束なら後に残らないのも由也くんの気遣いだと思った。感謝の花言葉を意味する花を選んだのだも。愛とか永遠とかではない花言葉。“これまでありがとう”……つまりは、“これからはそれぞれに別の道を”って。