年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「オーロラ、見えるといいね」
「そうですね」
由也くんとの最初で最後の海外旅行はオーロラツアー。夏は白夜で見えない北半球、年末年始はオーロラを一目拝もうと日本から直行便が出る。そのツアーに申し込み、年末に日本を発つ。
オーロラの出現高度は地上90キロメートル以上、雲が出ればお目にかかれない。3日滞在すれば1回は見れるだろうという口コミに賭けるしかない。今回見れなかったら私は一生見ることは無いだろう、アラスカやフィンランドに出掛ける機会なんて凡人の私には無い。
「由也くん、もし見れなかったら……」
由也くんには見て欲しいと思う。本物のオーロラ。
「いつかまた行く機会を作ってね」
そのときに私は由也くんの隣にはいないだろう。いるとすれば綿菓子。
「はい。いつかきっと」