年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

「ああ。一生感謝しろよ」
「うん、感謝する」


 仕事をして納会を終えて、年末年始の休暇に入った。キャリーケースに着替えや防寒グッズを詰め込む。この部屋とも直にお別れになる。せっかく由也くんは荷物を運び入れてくれたけど持ち帰ってもらわなきゃいけない。由也くんの部屋を開けた。


「あれ……?」


 薄暗い部屋の天井にはうっすらと光るものが見えた。ちっちゃなシールが沢山貼られていた。


「星……。いつの間に」


 うっすらと青白く光る小さな点々、蓄光で光るシールを天井に張り巡らせていた。由也くんと散々星空を見ていた私はそれが星座だとすぐに理解した。北斗七星とそこから伸びる春の大曲線、夏の大三角と言われるデネブ、ベガ、アルタイルが同居する空。それが初夏の夜空を表したものだともすぐに理解した。


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