年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「わ、綿菓子の彼氏?」
「ええ」
「なんか怒られた?」
由也くんは再びベンチに座った。やっぱり何かを考え込んでるようで床を見つめている。なんだか由也くんは負のオーラを放ってるようにも見えて、私は由也くんから離れようと思った。
「あ、私ピル飲み忘れた! 飲んでくるね。えっと水は……」
不意に立ち上がった私に由也くんは反応した。私の手首を掴み、引き下ろす。私はドスンと尻餅をつくように腰掛けた。
「綾香さん、ピルは辞めましょう」
「は? あ、まあ、別れるんだし必要なかったね。ははは~」
「そうじゃなくて」
由也くんは掴んでいた私の手首を握り変えて両手で私の手を包むようにした。
「ななな何?」
「綾香さん」
由也くんは顔を上げて真っ直ぐに私を見つめた。瞳をのぞき込むように瞬きもせずに。何かを思い詰めてるようにも見える。私の心臓はバクバクと跳ね出した。