年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
私は声を荒げた。由也くんがカミングアウトしたら沢山の人が迷うことになる。重ねるように握られた手を今度は私が握り返した。
「ねえ! しっかりしてっ??」
私は説得しようと考えを張り巡らせる。その一方で由也くんは急に微笑んだ。
「……そんな綾香さんだからきっと父も許してくれる」
「へ??」
「自分のことより回りの人間を優先する綾香さんなら」
由也くんがそう言ったところで搭乗を促すアナウンスが流れた。由也くんは鞄を持ち、立ち上がる。その横顔は凜としていて怖いくらいだった。