年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「ただいま帰りました」
由也くんの声が吹き抜けの玄関に響く。綺麗に磨かれた床、階段。静かな空間。私は一気に緊張した。初めて入る彼氏の自宅、普通なら緊張もするけどもっとワクワクするだろうに。
「お帰りなさ……あら、お客様なの?」
出てきたのは割烹着を来た年配の女性。由也くんを見てにっこりしたのに私を見た途端、キョトンとした。でもすぐに何かを察知したのか、再びにっこりとした。
「うん。突然なんだけど……。父さんいる?」
「居間で新聞読んでるわよ。お客様も一緒ならケーキくらい買って来たのに」
女性は、上がってくださいな、と私にスリッパを差し出した。由也くんに続いて私も上がる。由也くんはスタスタと廊下を歩き、ドアの前で止まった。