年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
そう、そんなに……、と母親は呟くように言った。こんな年上の一般ピープルなんて大企業後継ぎの嫁は務まらない、とでも言いたいんだろうか。
「……8年もの間、由也を支えてくださってありがとうございました」
由也くんの母親は頭を下げた。ここでドラマなら風呂敷包みが出るか、もっといいボンボンを紹介しますと言われるか……。
「……」
私は俯いた。金目当てか名誉目当てかと罵倒されて手切れ金だと覚悟した。それならそれでもいい、親に紹介してもらって駄目な女だと烙印を押されるなら。ただ由也くんを利用してないことだけは信じてもらいたかった。私はいつの間にか自然に手をぎゅうっと握っていた。