年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 由也くんが父親も会社も私も失わずにいる方法……。一緒にスマ乳のために働くこと。


「わ……私でいいんでしょうか。私の実家は資産家でもないし名家でも無いです」
「主人も私もそうです、一から始めた牛乳屋さんですから。主人が資産や名誉に重きを置く筈がありませんので。それに……」
「はい」
「由也が選んだ方なら……ましてや8年間も一緒にいてくださった方なら、親として反対する理由もありません。長谷川さんだって辛かったでしょう?、結婚出来るかどうか分からない人について来たんですから……」


 由也くんのお母さんはそう言って、優しく笑った。


「……望遠鏡を思い出したわ」
「望遠鏡……あ、あの小さい望遠鏡ですか?」

「由也が小学2年生のとき、主人が帰宅するまで居間で待ってたのね、買ってもらいたくて直談判するのに。夜更かしして怒られないかヒヤヒヤしたのよ」


 懐かしいです、由也も成長したのね、30だもの当たり前ですね、と由也くんの母親は笑った。

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