年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)


「父に近い社員は僕が父に殴られたのは察知してるようですが」


 親子喧嘩に察しはついてるものの理由は見えない。息子がライバル社の社員と付き合っている等と社長が言える筈も無いからだ。商品開発室に入室する社員や部長クラス以上の人間は興信所を使って調べてから異動させたり昇進させたりする。勿論他社からの引き抜き工作の話も全て断ってきた。なのに息子の副社長がライバル社の人間と恋仲で“不祥事”を冒していたと公表したら社長自身の立場が無い。

「まだ時間は掛かると思うけど、必ず父を説得します」


 由也くんはにっこりと笑う。でも笑った拍子に唇が痛んだらしく頬を引きつらせる。痛むけれど気持ちはスッキリしました、と口元を指で押さえた。

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