年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

「でも僕……もっと」
「もっと?」
「もっと……早く気づけばよかった、大切な人がいるからこそ頑張れるんだって。もっと早くに気づけば綾香さんにも赤ちゃんにも苦しい思いはさせずに済んだのに……」


「赤ちゃ……」


 由也くんが赤ちゃんと言った。由也くんは忘れてると思い込んでいたから私は驚いた。


「お、覚えててくれたの?」
「当たり前でしょ。ほら僕の部屋」


 由也くんはソファから立ち上がり部屋に行く。ドアを開けると手招きをして私にも部屋に入るよう促した。私も立ち上がり由也くんのそばに行く。由也くんが天井を見上げたのに釣られて私も上を見た。薄暗い部屋の天井、貼り巡らされた蓄光シールはリビングから差し込んだ光でうっすらと光る。
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