年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
『もしさ、1週間通ったら御褒美にランチおごるよ』
『はい……』
『じゃあ名刺。ほら連絡先』



 それが由也くんとの出会いだった。由也くんは私の言い付け通り毎朝7時に勝手口に来ていたらしい。1週間後、由也くんは一番に私に連絡をくれた。会社でもなく上司でもなく、ライバル会社の営業の私に。ちょっと嬉しかった。勿論私は約束通りにランチに誘った。米の美味い定食屋さん。豪勢に1500円のステーキランチを食べた。


『ありがとうございました』
『もやし君、辞めちゃ駄目だよ』
『……』
『1週間ガンバったらまた来週食べに行こうね』
『はい』



 それから毎週ランチした。営業の基本を教わってない彼にレクチャーしたり本を紹介したりした。そしてトークネタになるスポットの話をしてるうちに一緒に出掛けよう、と約束までしてしまった。初めはオープンした鰻屋とか大型本屋とか、お姉キャラ芸能人の講演会とか、そんなとこだった。



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