年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「綾香さん、覚えてる?」
「勿論」


 中に入る。部屋からも夜景が見えて綺麗だった。ガラスにへばりつく様にして下を眺める。ガラスに室内の景色も映りこみ、由也くんが私の背後に着くのが見えた。あの時、泣き損だったろうか。社長御子息の由也くんなら小遣いで支払えたって。


「あの時はまだ新入社員で給料も他の子と変わらなかったんだ」
「へ?」
「夏のボーナスは満額でなかったけど、冬は出たからそれで予約して」
「うん」
「今夜はスイートにしようかとも考えたけど、やっぱりこの部屋からの景色をもう一度見たくて」


 由也くんは私の肩に手を置いて耳にキスをした。あの時と同じように耳をはむ。そして同じように由也くんは震えていた。


「由也くん……?」


 あの時は私を抱くのが初めてで緊張して震えていた。すごく可愛くてすごく嬉しくて私もドキドキした。


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