年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「なのに、なのに僕は」


 私は肩に置かれた由也くんの手に自分の手を重ねた。そうするのが精一杯だった。由也くんは鼻を啜りながらも言葉を続ける。


「あの頃は仕事に慣れるのに必死だった。ライバルの社員なのに綾香さんに縋り付いてた。でもいつの間にか、こんな人が恋人だったら毎日楽しいなって。仕事が辛くても頑張れるって……。実際そうだった」
「私だって」


 重ねていた手がスルリと抜けて後ろから二の腕ごと抱きしめられた。


「でも最近それは自分の我が儘だって気付いた」


 由也くんはぎゅうっと私を抱きしめた。

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