年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 カップルで訪れると結婚出来ると噂になったパワースポット。由也くんと初めてキスをした場所。


「時間を遡って昨日今日とあちこち行ったけど、次が最後の場所」
「……」
「時間を巻き戻して、綾香さんと付き合う前に戻ろうと思いました」


 知り合う前に付き合う前に戻れる筈もない。そう思うけど私は黙っていた。直に橋の近くまで来て駐車場に車を止める。降りて手を繋いで橋までの歩道を歩いた。

 空を見上げれば夕方。あのときもこのくらいの時間だった。橋の上から川面を眺める。オレンジ色の水面に鉄塔が映り込む。あの頃はまだ鉄塔も建設中だった。今は展望スペースもオープンしてエレベーターで昇ることも出来る。


「綾香さん」
「なあに」
「ありがとう」
「うん」


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