年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「由也くん、じゃなかった藤池くん」
「はい」
「また明日から営業頑張ろ。ライバル会社だけど共に同志として」
「はい」
「私、負けないからね」
「はい」
「じゃあ正々堂々フェアプレーを誓って握手」


 私が手を差し出すと、由也くんは笑って握手してくれた。


「またどこかの営業先で会うと思うけど、お元気で」
「綾……、長谷川さんも」


 その骨っぽい手を離した。


「うん。じゃ!」
「さよなら」


 私は目一杯の笑顔で、得意の営業スマイルで由也くんに手を振った。そして後退りするように歩き出し、くるりと体を返して由也くんに背を向け、駅のある方向へ進んだ。

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