年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 それでも由也くんはニコニコ笑って許してくれた。また綾香さんと来る口実が出来ましたとか、その残念そうな表情も可愛いですとか、フォローもしてくれた。

 熱燗を何本追加しただろう、それでも私は酔いが回らなかった。元々ザルなのもある。普通失恋したら壊れそうなものを。


「なんか酔えない」
「飲みが足りないからだろ、飲め」


 鎌谷は冷酒を追加した。カウンター越しに出て来たのは八海山の4合瓶。それを手酌で舐めるように飲む。由也くんの好きな銘柄。以前、コップで一気飲みしたら由也くんは苦笑いしたな、勿体ないって。


「チビチビ飲むなよ。いつも通り、があーっと行け。があーっと」


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