年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
一気に空けたら由也くんが悲しそうな顔をする気がした。鎌谷の言葉を無視してチビチビ飲んでると隣から奴が煽る。もっと飲め、いいから飲めーっ!、と。
『綾香さん……』
ふと由也くんの声がした。当たりを見回す。いる筈もないのに。
「どうした?」
「何でもない」
それでも八海山を一気飲みするのは気が引けて、瓶をくるりと回してラベルを向こう側にした。よし、これは八海山じゃないと自分に言い聞かせる。
「も、ええいっ、忘れてやるう~っ!」
私はコップを握り、一気に飲んだ。手酌で継ぎ、再び飲み干す。
「長谷川っ、よし!」
勿体なくたっていい、所詮ザルの私にはどんな酒だって勿体ないんだから。ほぼ一気に近い状況で4合瓶を空ける。飲んで飲んで由也くんを忘れてやる、って。