年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 電車を乗り継ぎ、橋に着く。改札を抜けたときにはさっきより空は暮れて暗くなっていた。18時過ぎで仕事帰りのカップルが数組いた。きっと噂を聞いてここにやってきたんだろう。でも私はその言い伝えはガセですよおっ!、と叫びたかった。


『キスをしたら忘れてください』


「忘れられるわけ無いじゃん……」


 橋の欄干に肘をつき、ぶうたれて鉄塔を見上げる。徐々に夜景に変わる都会の空。さっきコンビニ巡りでオレンジミルクティを買ったのを思い出し、鞄から取り出した。キャップを捻り開けるとオレンジとミルクの甘い香りが鼻を突いた。
< 88 / 600 >

この作品をシェア

pagetop