年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
由也くんも同じことを考えてたんだろう、営業先で元気な顔ぐらいは見たいって。それだけでも嬉しかった。
由也くんはペットボトルの蓋を閉めた。そして黒いビジネス鞄にしまう。
「じゃあ」
「うん。じゃあね」
由也くんは手を振って向き直り、駐車場のある方に歩き出した。段々と由也くんの背中が小さなる。また会えなくなる、顔すら見られなくなる、声も聞けなくなる……。
「よ……由也くんっ!!」
無意識に由也くんを呼び止めていた。聞こえたのか由也くんが歩くのをやめ、立ち止まる。少し間を置いて振り返る。映画のワンシーンのように互いに駆け寄った。橋の上で抱き合う。互いに背中に手を回してぎゅうっと抱きしめた。しばらくして由也くんの腕が緩み、私は顔を上げて由也くんを見上げた。