彩られたクチビル
午後20時、待ち合わせ場所に着く。私の最寄り駅。



せっかく最後に綺麗な姿を見て欲しかったのに空からは大粒の雨が降っている。お気に入りの傘を差して彼が来るのを待った。




しばらくすると駅のロータリーに停められた黒い車。彼がやってきた。心音が激しくなるのがわかる。




だけど、立ち止まってなんていられない。動かない足を無理矢理動かして彼の車に近づいた。



ガチャっと助手席の扉が開く。


彼が運転席からいつも開けてくれる。
こんなさりげない優しさも好き。
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