続・溺愛協奏曲  蓮と莉子の甘々な日々
生まれてきた弟になんの罪があるんだろう



弟は幸か不幸かお母さんとここに居る航さんとの間に生まれてきた



ふたりに罪はあるかもしれないけれど亡くなってしまった弟にはなんの罪もない




むしろ罪があるとすればお母さんとふたりつつましく暮らしてきたであろう二人を引き裂いた
目の前にいるふたりにあるのでは・・・・・




そう思ってしまうあたしの考えは間違っているんだろうか・・・・




あたしは目の前にいるふたりに目をやるとひとつ深呼吸をして話をした




自分の思いを伝えるために・・・・



「お母さんにお父さん以外の好きな人がいるって聞いたときはショックでした・・・ましてや
子供まで・・・・でも亡くなった弟にはなんの罪もありません!むしろ短い一生を終えた弟に逢いに行きたい!そう思うのはそんなにいけないことなんですか?」




「莉子・・・・」




知らず知らずのうちに涙を流していたあたしを蓮がそっと抱きしめてくる



あたし・・・・いつのまに泣いてた?



そっと涙を拭うとそんなあたしを見ていた蓮の抱き寄せる力が強くなる



背の高い蓮を見上げるとふっと優しく笑いかけていた




「航さん・・・・親父の友人でもあり先輩でもあるあなたに俺のような奴があれこれ言うのは
百年早いって言われるかもしれない、でもこれだけは言えます!俺はあなたみたいな愛し方はしない・・・俺は莉子だけでいい」



莉子が存在してくれるだけで・・・傍にいてくれるだけで俺の心は満たされるんだ




心地よい風が吹き抜けて蓮の言葉があたしの胸にいつまでも響いていた




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