続・溺愛協奏曲  蓮と莉子の甘々な日々
「でも・・・亡くしてしまった息子さんのことは心のどこかでまだ覚えているようなんです
その証拠に息子さんが大好きだったクマのぬいぐるみ肌身離さず持ってますから・・・」



看護師さんの言葉に胸の奥がきゅっと痛くなった


お母さんは亡くなってしまった息子のことをはっきりとではないけれど覚えている



たぶんあたしも生きている限り亡くしてしまった子供のことはずっと心に残っているだろう



ただ・・・・一目でいい・・蓮に見せてあげたかった



子供の顔を見せてあげたかった・・・後悔ばかりがあたしの心を襲う



いつの間にか待合室にはあたしと蓮のふたりきりで・・・看護師さんはこの場にいなくて・・




いつの間にか流していた涙を蓮の大きな手がそっと拭うのに気付く



「蓮・・・・ごめん、ごめんね」



「なんで謝る?莉子は俺に謝るようなことしてねえだろ・・・・ごめんって謝るよりありがとうって言葉のほうが俺は好きだ」



そう呟くとくしゃくしゃっと頭を撫でた



「今日は一緒に来てくれてありがとう・・・あのね、お母さん見てたらなんか赤ちゃんのこと思い出しちゃって蓮に見せてあげたかったなって思ったらなんか自然と泣けてきて・・・
ごめんね・・・蓮の赤ちゃん・・・あたし守ってあげれなかった」



「俺のほうこそ・・・ごめん、俺が付いてたら辛い思いさせずに済んだかもしれねえのに」




蓮はそっと抱きしめると頭にそっと唇を寄せた



たぶん子供を亡くした痛みはお母さんもあたしも一生抱えて生きていくんだろうな・・・




そんなことを漠然と思いながら蓮に寄り添っていた
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