続・溺愛協奏曲  蓮と莉子の甘々な日々
そんなあたしの目に飛び込んできたのは沢山の松林



道路の両側に沢山の松林が植えてあって微かにあたしの耳に響いてきたのは波の音



えっ・・・・ここはもしかして海?



居てもたってもいられなくなったあたしはすかさず車の窓を開けると潮の香りが鼻腔をくすぐる




春というより、もうすぐ初夏の柔らかい風があたしの肌を吹き抜けていく



気持ちいいな・・・・海なんて久しぶりかも・・・




でも、なんで海?あたし子供の頃慎ちゃんと海に来たことなんてあったっけ?



記憶の糸を辿っていると車はいつの間にか停車していて慎ちゃんは車から降りようとしていた




「さあ、行くよ・・・・」




「う・・・うん!」




慎ちゃんに手を引かれて階段を数段上るとまさしくここは海



もうすぐ日が暮れようとしていて夕日が眩しいくらい綺麗




あたしは夕日に見とれてしばらく声も出せずにその場に佇んでいた



「子供の頃から手術の前になると必ず連れてきてもらったんだ・・・・もちろん無理を言ってね・・・」



波の音と一緒に慎ちゃんの声が海に響き渡る



慎ちゃんの横顔が夕日でオレンジに染まっていた




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