だんご虫ヒーロー。【番外編集】
そしてお食事会は幕を閉じて、帰り。
「…すまないね、李さん。咲紀が変なことを聞いてしまって」
咲紀さんをおんぶする藤里さんが、軽く頭を下げた。
「……いえ……お気になさらず……」
もう疲れきってた私はか細い声しか出なかった。
ちなみにお姉ちゃんとお母さんと美夕紀さんは二次会に行った。
藤里さんは自分の背中で眠っている咲紀さんを見て、ふっと微笑んだ。
「…咲紀は最初夕里に怒っていたけど、本当は一番2人の結婚を喜んでいたんだ」
「…え……」
驚いて咲紀さんを見る。
咲紀さんは相変わらず気持ちよさそうに眠っている。
「……表面上では怒っていたけど、咲紀の一番の幸せは我が子が幸せになること。
だから夕里が大切な人が出来たと聞いた時は、泣いて喜んでいたよ」
チラッと隣にいた夕里を見る。
夕里も知らなかったようで、目を見開いている。
咲紀さんはきっと嬉しかったんだ。
だから私達にあれやこれやと聞いてきたんだ。
藤里さんは私を見て、そして夕里を優しい瞳で見つめた。
「…だから夕里。李さんを幸せにしてやれ。
お前の幸せが咲紀の幸せなんだから。
お前が悲しめば、李さんも咲紀も悲しむ。
2人を悲しませるのは、私が許さないからな」
真剣な目つきで夕里を見つめる、藤里さん。