だんご虫ヒーロー。【番外編集】
すると背後から航さんの足音が聞こえたと思ったら、航さんは私の隣に座って抱き締めてきた。
航さんの温もりを感じて、涙が流れる。
「……私……航さんが分からなくなっちゃった………っ」
「ごめんな……ごめんな…綾女……」
私の頭を撫でてくれる、航さん。
チラッと目を開けると航さんのカバンの近くに大きな箱と大きな紙袋があった。
「……航さん?あれは……?」
私が指差すと、航さんは照れたように頬を赤くした。
そして私から離れると、大きな紙袋から何かを取り出した。
「…いや…あの……こういうのはガラに合わないってのは分かってるんだけど……」
そう言いながら私に渡してきたのは、赤いバラの花束。
「……すごい…綺麗…でもどうして?」
赤いバラの花束を受け取り、航さんを見る。
航さんは私の左手をとり、結婚指輪にキスをした。
「……どうしてって今日は結婚記念日だろ?6年目の」
航さんはイヒッと照れたように笑った。
嘘……覚えてたんだ……