だんご虫ヒーロー。【番外編集】
でも次の瞬間、夕里の表情は明るくなった。
「…じゃあ、おいで?」
私に笑顔で手を差し伸べる、夕里。
はめられた。
あの顔は演技だったのか。
私をおびき寄せるための。
でも例え演技だったとしても、夕里にあんな顔させたくない。
私は渋々、夕里の手をとった。
夕里は手を引っ張り、私を優しく抱き締めた。
「…やっと捕まえた」
後ろから私を抱き締める夕里は、私の頬に自分の頬をくっつけてきた。
声色はとても嬉しそう。
チラッと夕里を見るとニコニコ笑ってる。
夕里のペースに乗せられてしまってる。
夕里は私を誘惑するのが上手い。
いつも負けた気分になるの。
だから最後は私が仕返しをする。
「…夕里、誕生日おめでとう」
私から夕里にキスのプレゼントをした。