だんご虫ヒーロー。【番外編集】
バンッ
部屋のドアが思いっきり開いた。
そこにいたのは息を切らして部活から帰ってきた祐。
「……あ、祐。おかえり」
何事もなかったかのように笑顔を見せる優。
私の鼓動はまだ収まってない。
祐が音をたてて階段を上ってきたから、優が私を起こしてくれた。
だからキスもされてない。
あ、危なかった………
しかも祐、また怒ってるし。
私を見る目つきがものすごく怖い。
「…カコ、もう遅いから送ってく。荷物準備して外出ろ」
祐はそれだけ言うと階段を下りていった。
機嫌がいいと口数が多くて、悪いと少ない。
これがいつもの祐。
今は口数が少ない方に入るから、怒ってる。
「…あーあ、もうちょっとだったのにね?」
優はふっと笑って私を見る。
その妖艶な笑顔にドキッとしてしまう。
私は慌てて荷物をカバンにまとめる。
「そ、そうだね!勉強もうちょっとで終わりそうだったのにね、全く祐はいつも邪魔してくるんだから」
またねと言ってササッと部屋から出ようとした。
そしたら後ろから手首を掴まれて、耳元で囁かれた。
「……続きはまた今度、ね?」