だんご虫ヒーロー。【番外編集】
「…それ以上俺の前で他の男のこと言ったら、次は口塞ぐからな」
ドキンッ
真剣な祐の目から逃げられない。
なに、それ……
というか私、なんであんなに躍起になって色々言ってたんだろう。
祐に何か言って欲しかったの?
『あいつのことばっか言ってんなよ』って言って欲しかったみたいな言い方してた、私。
何、この気持ち……
真っ直ぐに祐を見つめていると、次第に祐の頬が赤くなり祐は自転車に乗って帰ってしまった。
私はドキドキした胸を押さえて、祐の後ろ姿を見つめた。
この時の私はまだ幼くて、恋だなんて知らなかったけど。
これが私の最初で最後の恋の始まりだった。
番外編5end