だんご虫ヒーロー。【番外編集】
そんなことを考えていると、新婦控え室に到着。
もう新婦じゃないんだけどな…なんて思いながら中に入る。
部屋の中は思ったよりも広くて少し驚いたけど、ここから始まるんだと思うとなんだかドキドキした。
「…李ちゃん。私先にメイクの準備するから、そこにかかってるウエディングドレスの確認してもらってもいい?」
「あ、うん。分かった」
せかせかと準備をしている雪菜ちゃんを見て、私は袋のかかったドレスの前に足を運ぶ。
ウエディングドレスは何度も試着して、採寸も終えたもの。
何度も見てるから大丈夫。
ドレスを傷つけないようにゆっくりと袋を取る。
「……え、…?」
袋を取って目に入ったウエディングドレスは、何度も見てたドレスとは違うものだった。
しかもそれは李色のウエディングドレスだった。
「…どう?驚いたでしょ?」
いつの間にか私の隣に来ていた雪菜ちゃんが、ドッキリ成功というようなどこか余裕そうな笑みを浮かべた。
私は何が起こっているのか分からなかった。
「…最初にドレスを試着した時あったでしょ?その次の日に夕里が一人で来てさ、『ドレスを李に内緒でこれにして欲しい』って完成途中のこのドレスの写真を見せてきたの」
このドレスの写真は私も見た。
だってあれはお姉ちゃんが送ってくれた写真だから。
夕里はほんとサプライズが好きだよね、いくつになっても。
「あ!泣くのはまだ早いよ?
結婚式はこれからなんだからさ」
「…うん、そうだね」
目に涙を溜めた私を見た雪菜ちゃんがポケットからハンカチを取り出し、私の涙を拭いてくれた。
私は涙を溜めても、流さないようにグッと堪えた。