赤糸~新撰組の飼いがらす~
一章

からす






ため池も凍りつく、この季節。


大量の資料を前に、土方歳三は頭を抱えていた。





「あー!くそっ」




土方の、むしゃくしゃとした呻り声が、狭い部屋に響く。




俳句が書きてぇ…。



人知れず、土方は心の中でそう呟く。




俳句を書くことを趣味としている土方。

しかし、最近はその趣味を行うことすらままならない。




背後でパチパチと火鉢が音をたてている。


今は、それさえも煩わしく感じた。


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