赤糸~新撰組の飼いがらす~
しかし、この事件に携わってから、どうも隊員の乱れがあからさまになってきた気がする。
躊躇いも無く遊郭に足を踏み入れたり。
巡察中に団子屋に寄ったり。
局中法度を犯す者も、しばしば出てきている。
先の見えない謎を追うことに、嫌気がさしたのだろうか。
そう考えると、無性に舌打ちしたくなった。
俺だって事件の深追いはしたくない。
そう、文句を言ってやりたい。
ゴロンと一度、畳に背中を密着させる。
浅く溜め息を吐くと、それが白くなって天井に舞い上がっていく。