赤糸~新撰組の飼いがらす~

****


丑の刻(午前2時~2時半)。






「なんだと?」




土方は、目の前で膝をつく監察の山崎丞に問い返した。

山崎はその姿勢のまま、淡々と繰り返す。





「二条城の近辺で、からすが副長を待っています。現在、沖田組長が既にあちらへ向かっています」




彼の話している内容は、なんとも呆気ないものだった。




今まで、何度も何度も捜査し続け、結局何も手掛かりは見つからなかった。

そのせいもあり、隊士たちはだらけはじめている。




なのに――…待っている、だと?





とても信じがたい話だ。

敵が自分を待ちかまえているなんて。




そして何より、舐められているようで、胸がざわざわした。

眉間に生まれる皺を押さえられない。


< 6 / 33 >

この作品をシェア

pagetop