しわくちゃになったら、会いに行きます。



 「ううん、いいんだ。紀月さんはどこに入るの?」




 美術部、と端的に応えると、大藤くんはぱっと笑顔になった。




 「すごいね! 俺、美術とかさっぱりだから羨ましいよ」




 あたしは、声優がさっぱりですけど、とはもちろん言わないけど。


 ところで、何のためにあたしを引き止めたんだろう。


 そんな話なら、明日すれば良いのに。


 そんな思いが顔に出ていたのか、大藤くんは慌てて本題を引っ張り出した。




 「先生から、伝言があるんだ。『部活の届け出は今日中だぞ』って。


 紀月さん、まだ出してないだろ? 言っておいた方が良いかなって」


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