しわくちゃになったら、会いに行きます。


 零れた言葉はほぼ確信めいていて、こっそり体育館を覗くことにした。


 体育館も、それはそれはとても広い。


 あたしのいる渡り廊下側が北で、東西南北に一箇所ずつ入り口がある。


 バスケットコートが4面作れる体育館。


 その奥で、凄まじいスピードで駆け抜ける少年の姿があった。




 「……すごい」




 お兄ちゃんの試合を何度も見たことがある。


 高校の部活で県大会に出場したお兄ちゃんの応援に行ったとき、彼らの速さに圧巻したけど、


 彰太くんはそれよりもすごかった。


 まるで、風。


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