しわくちゃになったら、会いに行きます。



 「彰太くんて、バスケうまいんだね」




 彼は、恥ずかしそうに笑う。


 笑顔が、本当に素敵だ。あたしは少しの間見惚れていた。


 彰太くんは暫く空を見上げて一人で呟くように話す。




 「俺なんてまだまだだよ。紀月先輩とか、紺藤先輩とか、ホントにすごかったもん」




 あたしは黙って聞く。


 あたしが真実を知っているとしたら、彰太くんは何と言うだろうか。


 逃げるのかな。怒るのかな。笑って誤魔化す、のかな。


 楽しそうに話す彰太くんを、不意に少し、虐めたいと思ってしまった。


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