しわくちゃになったら、会いに行きます。


 でも、当の本人は気にせずに話し続ける。


 その横顔は、寂しさと名残惜しさを含んだ笑顔だった。




 「病院の先生には、絶対安静を命じられた。


 でも俺、母さんに一生のお願いだからって、我が儘を通してもらってさ。


 そんなことしたら死んでしまう、って止められたけど、それでも良かったんだ。


 先輩には、感謝してるんだ」




 「お兄ちゃんのこと?」




 彰太くんは頷く。


 確か、隼人さんが止めようとした所をお兄ちゃんが出場を許したって言ってたっけ。


 そのせいで、お兄ちゃんはしばらく後悔したって、嘆いてた。


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