しわくちゃになったら、会いに行きます。


 会いたいよ。


 お母さん、彰太くん。


 あたしのこの沸々と沸き起こる苛々を、誰か抑えて。




 「あーあ……」




 ふぅ、とため息を漏らす。


 ため息をつくと、幸せが逃げるって言うよね。


 一体、あたしはどれくらい幸せを逃がすんだろう。




 「おい、朱里」




 トントン、とドアを叩く音が聞こえて、あたしの思考は現実へ戻ってきた。


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