しわくちゃになったら、会いに行きます。


 あたしは、そんなお兄ちゃんの思考を遮るように、言葉を紡ぐ。




 「ねぇ、お兄ちゃん」




 んあ?と間抜けな返事をしたお兄ちゃんに小さく笑って、素直に疑問をぶつけた。


 直球なボールはどストライク。




 「お兄ちゃんにとって、恋ってどんなもの?」




 表情を強張らせたまま、お兄ちゃんは軽くフリーズ。


 23歳にもなって、もしかしてこの人、恋とか愛に疎い……?


 まさかね、とは思ったけどもはや予想の範疇で、お兄ちゃんはぎこちなく応えた。


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